彼女の三度目の結婚は、意を決しての「お見合い結婚」でした。
大きくなった翼は、ある程度の石ころなら避けられる瞬発力と頑丈さを備えることができました。
だからこそ彼女は「再々婚」に踏み切ることにしたのです。
お見合い相手の男性は、離婚経験1回ありの方でした。
初めてのデートで男性は彼女に話しました。
「過去の結婚生活では、自分は子どもでした!ガキでした!結婚は自分のためという考えが当たり前…というよりも、当たり前と考えている自分自身にも気付かないほどの愚か者でした」
「離婚して一人になって毎日、何故だ!何故だ!自分がこんな目に合わなければならない!妻は自分のことをわがままだと言ったけど、お前のほうがわかままだろう!と、悲しさに怒りが加わり毎日、帰宅してはやりきれない気持ちで、声を出して泣いていました。何より驚いたのは自分にも、こんな激しい感情があったということでした」
「でも2年目ころから少しずつ自分の結婚生活について、落ち着いて振り返れるようになっていったんです。妻と自分を入れ替えたと想定して、妻の気持ちを考えてみました。そんな日々が続き、だんだんと当時の妻の悲しみを理解できるようになってきたのです。それと同時に、自分も夫として悪いことばかりではなかった!良いこともあったのだと思い起こすことができ、怒りと悲しみが消え、前向きな自分に変わることができたと思う。怒りも時には必要だけれども、ほとんどは不必要な怒りだということも…こんな自分になれたことを前妻に感謝します」
その話を聞いて、彼女は人目もはばからず、大泣きしたそうです。
そして彼女は「大きくなった翼」の話を彼にしました。
彼は言いました「石ころを避けることができるようになったのは素晴らしいですね。でも、避けることができないようなたくさんの石が飛んできたときには、僕がキャッチします。キャッチもできないような大きな石は、二人で力を合わせて破壊しましょう。そして砕けた石をピカピカに磨いて返してあげましょう」
このお二人は、3回目のデートで再婚を決めました。
今でも、互いを思いやる気持ちを忘れずに、幸せな日々を送っているそうです。